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気になる旅行業法の違反事例(ボランティアバス編)

(記載:2019年12月13日)

行政書士つなぐ法務事務所の時村公之です。
今回は「気になる旅行業法の違反事例(ボランティアバス編)」というテーマで、過去の違反事例からなぜ違反と判断されたのかを解き明かします。

この記事は、ご自分の事業やビジネスモデルが旅行業法に違反していないかがご心配な方の為に作成しています。
それでは早速見ていきましょう!

「ボランティアバスは違反」観光庁が是正通知

2016年に観光庁は、「NPOなどがボランティアスタッフを被災地に派遣する『ボランティアバス』について、公募した参加者から参加費を直接集めるのは実費だけでも旅行業法違反にあたる」として、業者への委託など是正を求める通知を全都道府県に出しました。

この通知では、「旅行業法の登録を受けていないNPOや社会福祉協議会が主催者となり、参加代金を収受してボランティアツアーを実施する事例が見受けられる」として、参加費の徴収を主催者であるNPO等が直接行っていることを問題視しました。

主催者が参加費を徴収することが、どうして旅行業法違反にあたるとされたのでしょうか?

なにが旅行業法違反なのか?

最初に旅行業の定義について確認する必要があります。

旅行業法第二条第1項には、「この法律で旅行業とは、報酬を得て、次に掲げる行為を行う事業をいう。」と定義ています。
そして、次に掲げる行為のひとつに「運送等サービスを旅行者に代理して契約締結し、媒介し、又は取次をすること」をあげています。

つまり、宿泊先や交通機関の手配について、旅行者に代理して行い、この代理行為に対して報酬を得ることは「旅行業」にあたります。

確かにボランティア(旅行者)がのるボランティアバス(運送等サービス)を主催者が代理して手配しています。
しかし、主催者は実費を集めただけで報酬を得ているようには見えませんので、旅行業の定義には当てはまらないように思えます。

実はここに落とし穴があるのです。

旅行業を規定するものは、旅行業法以外にも旅行業法施行令や旅行業法施行規則などがあるのですが、これに加えて旅行業法施行要領というものがあります。
旅行業法施行要領では、旅行業法令や施行規則にある文言や要件の判断基準について、具体的な解釈を記載しています。

この旅行業法施行要領の中で、報酬とは「事業者が旅行業法第2条第1項各号に掲げる行為を行うことによって、経済的収入を得ていれば報酬となる」とされています。
経済的収入とは、金銭その他の資産的な収入のことをいいますので、利益が出ているかどうかはここでは問われていません。

ボランティアツアーを主催したNPO等は、自ら参加費の徴収を行っていましたので、「報酬を得て運送等サービスを提供した」ということになり、旅行業法で定義される「旅行業」をおこなったということになります。

そして、同じく旅行業法施行要領には、「旅行業者又は旅行業者代理業者以外の者(以下「オーガナイザー」という。)が、その名において旅行者との間で旅行契約を締結する場合は、オーガナイザーの旅行業務に関する無登録営業となる。また、旅行業者の名において旅行契約を締結する場合でも、オーガナイザーにおいて申込みを受け付け、旅行代金を収受する行為は、旅行業務に関する無登録営業となる」とされていて、ここからNPO等の行った旅行業行為は、無登録営業であると観光庁は判断し、旅行業違反であると指摘したのです。

現在の運用

この指導が行われた翌年に環境庁は「災害時のボランティアツアー実施に係る旅行業法上の取り扱いについて」という通知を発出しています。

この中で、今回問題になったボランティアツアーについて、「発災を受けて組成されたボランティア団体、又は発災を受けて参加者を募集するNPO法人や自治体、大学等が主催するボランティアツアーのうち、参加者の旅行者の身体的及び財産的安全の保護及び旅行目的が達成されるよう必要な処置を取るものについては、旅行業法に抵触しないものとして運用する」こととしました。

これによって、ボランティアツアーについては、主催者が参加費を徴収しても旅行業違反とはならないことになりました。
ルールはルールとして規制し、改めて現状にあわせてルールを変更したというところでしょうか。

まとめ

さて、ここまでボランティアツアーがなぜ旅行業違反にあたったのかについて確認してみましたが、いかがでしょうか?

観光庁は、①主催者が旅行業を行っている→②行っている旅行業は無登録営業である、という2つのステップを踏んで、ボランティアツアーを違法と判断しました。
ここで重要なのは、この判断基準が旅行業法令でも施行規則でもなく、施行要領に記載されているという点です。
どのような許認可もそうなのですが、その行為を法律に適合させるためには、法令や施行規則はもちろんのこと施行要領や自治体の条例、告示・通達・判例に至るまで網羅的に把握することが必要です。

旅行業法の場合、無登録で旅行業を行うと「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金、又はその併科」となり、その後、改めて旅行業登録をしようとしても登録ができない場合もあります。
ご自分の事業やビジネスモデルが法律に違反していないかが不安な方は、専門家に相談されることをお勧めします。

以上、「気になる旅行業法の違反事例(ボランティアバス編)」というテーマで、過去の違反事例からなぜ違反と判断されたのかを解き明かしました。

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