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1.222020
ニュースピックアップ:2020/1/21 日本経済新聞「大阪市「特区民泊」悩ましく 苦情相次ぎ説明会義務化」
(記載:2020年1月22日、更新:2020年2月7日)
行政書士つなぐ法務事務所の時村公之です。
このコーナーは、日々流れるニュースの中で、行政書士時村が気になったニュースを所感を交えながら紹介します。
記念すべき1回目のニュースはこちら!
<目 次>
大阪市「特区民泊」悩ましく 苦情相次ぎ説明会義務化(日本経済新聞 2020/1/21)
大阪市は2月の定例会で、特区民泊を開業する前に住民説明会を行うことを義務化する条例案を提出するそうです。
詳しくはこちら「大阪市「特区民泊」悩ましく 苦情相次ぎ説明会義務化」
記事にある通り、住民への説明不足による苦情が増加したこともあり、説明会の開催を事業者に義務付ける方針に転換。
条例案には罰則規定はないものの、説明会を開かなければ認定はされないとのことです。
説明会の義務化は参入障壁となるのか?
注意したいのは、義務化されるのは「住民説明会を開催すること」であって、「住民の同意を得ること」ではないという点です。
つまり、住民説明会を開催しさえすれば、義務を果たしたことになるということになります。
それでは、住民説明会の開催の義務化は、参入障壁にはならないのでしょうか?
私はそうは思いません。
記事内でジーテックの黒沢氏が発言している通り、住民説明会の義務化は人手が少ない中小事業者には負担が重いです。
実際に私も行政からの指導で住民説明会を開催したことがありますが、開催には「町内会長や自治会長との事前打ち合わせ」「会場の確保」「回覧板やポスティング等での周知」「当日の進行のための資料作成や想定問答集の作成」など、時間も労力もかかります。
また、意外と見落とされがちですが、住民説明会を開催することの心理的負担も大きいです。
「反対されたらどうしよう」「感情的にこられたら、どう対応したらいいのだろう」と住民説明会に対してネガティブな印象を持つクライアント様は大変多いです。
こうしたことが、新規参入のハードルを高めるのではないかと考えます。
大切なことは民泊のイメージ向上
しかし、2025年の大阪・関西万博に向けて民泊も含めた宿泊施設の整備は必要不可欠なはずであるにも関わらず、なぜ大阪市は民泊の開設のハードルを上げるのでしょうか?
その答えは、記事の中にある市の担当者の「地域の理解を得られなければ民泊のイメージは低下し、訪日客の受け入れ拡大にも悪影響が出かねない。今後も健全で良質な民泊を提供していく環境を整えていきたい」というコメントにあります。
つまり、大阪市は訪日客の受け入れには民泊が必要であることを十分に認識しているからこそ、地域に受け入れてもらえる質の高い民泊を整備しようとしているのです。
前出の黒沢氏は、自身のFBの中で「(規制)緩和するのは間違いだという論調もあるかとは思うのですが、規制緩和して数が増えると当然競争になりますので、淘汰される業者も出てきます。今現在ちょうどそういうフェーズに突入したということで、より良い事業者がこの先新たな宿泊業界を築く段階であると見ています。(黒沢氏のFBはこちら)」とコメントしています。
私も同感で、現在の珠玉混合の状態から競争の中でより質の高い事業者が生き残り、民泊のネガティブなイメージが改善されることで、結果としてさらに新たな事業者が参入しやすい業界となっていくことが望ましいと考えます。
その為にも、ただ一律に規制をかけるのではなく、健全な競争環境を整備するために必要な取り組みを、行政にはお願いしたいところです。
最後に
もともと民泊が世間一般に知られるようになったきっかけが、いわゆる「違法民泊」であったことを考えると、ネガティブなイメージが強いのは致し方ない部分はあります。
しかし、2018年の住宅宿泊事業法の施行により、状況は改善されつつあります。
現在、AirbnbやHomeAweyなどを見ると通常のホテルや旅館では提供されないような宿泊施設がいくつも紹介されており、特にHomeAweyは、古民家の一棟貸しなどのいわゆるバケーションレンタルを多く扱うことで、従来の宿泊施設との差別化を図っています。
民泊は、これまでの既存のホテル・旅館が提供できなかった新たな価値を提供できる可能を秘めています。
私もそんな志の高い事業者様と一緒に業界を盛り上げていきたいと思います。