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ほぼ毎日更新、今日のつぶやきは「海の所有権」

こんばんは。土曜日にちょっとした力仕事をしたら、翌朝起きたら腕が筋肉痛になっていて、「俺もまだまだ若いな、フッ」と思った時村です。

突然ですが、海に所有権は認められると思いますか?という質問は、ホントに突然なのですが、海の下には海底、つまり土地があるわけで、そこに地上と同じように登記を行って、所有権を主張することができるのでしょうか?

実は、海の所有権については、田原湾干拓訴訟判決(最高裁昭和61年12月16日判決)で「海は、古来より自然の状態のままで一般公衆の共同使用に供されてきたところのいわゆる公共用物であって、国の直接の公法的支配管理に服し、特定人による排他的支配の許されないもの」と判示されていて、海には排他的支配権である土地所有権が認められていません。

この田原湾干拓訴訟がどんな裁判だったかと言うと、愛知県の田原湾の一部について、ある私人が江戸時代に藩から干拓の権利を付与されたのですが、実際にはこの干拓が行われないまま転々売買されて戦後を迎えたのですが、昭和44年に名古屋法務局田原出張所登記官が、係争地は海面下にあるとして滅失登記を行ったところ、係争地の「所有権者」であると主張する原告らがこの滅失登記処分の取消を求めて出訴したというものです。

第一審、第二審では原告の主張が認められたのですが、最高裁では「公有水面埋立法が、公有水面の埋立てをしようとする者に対しては埋立ての免許を与え、埋立工事の竣工認可によって埋立地を右の者の所有に帰属させることとしているが、現行法は、海について、海水に覆われたままの状態で一定範囲を区画しこれを私人の所有に帰属させるという制度は採用していない。」「その他、国が過去において本件係争地を他の海面から区別して区画し私人の所有に帰属させたという事実もない」として、原告の訴えを退けました。

ところで、一方で、漁業を排他的に行う権利として、漁業権や入漁権は認められていて、漁業権が認められている水面については、漁業協同組合等の許可を得たり、利用料を支払ったりしなければ、ダイビングや潮干狩り等をすることはできません。

これは、江戸時代から伝わる「磯は地付き、沖は入会」の考え方で、ごく沿岸の部分については、「地付き」すなわち沿岸部の漁業集落共同体の構成員に管理を任せるという考え方が、漁業権にも引き継がれていて、漁業法はこの地元漁業集落共同体による前浜の管理を漁業権として法的に保護していると言われています。

というわけで、「海には所有権が存在するのか」について少し気になったので調べてみると、ちょっと面白かったので、こちらでご紹介してみました。暇してるわけじゃないですよ(笑)

それでは、今日はこの辺で。

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