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ほぼ毎日更新、今日のつぶやき「キャンピングカーと旅館業法」

おはようございます。今さらながらに進撃の巨人にハマって、先週の日曜日にやっとパラディ島からマーレに渡ることができた時村です。

2021年6月1日に「キャンピングカー白書2021」が一般社団法人日本RV協会より発行されたという記事を見たのですが、そもそもキャンピングカー白書という書籍があること自体知らなかったというのは内緒にしておいて下さい。

それで、この白書によると国内のキャンピングカー保有台数は、2016年に10万台を超えてから順調にその数値を伸ばしていて、2020年には対前年比106.7%増の約127,400台になったそうです。

新型コロナウイルスの影響を受けて、3密を避けられる場所が旅の目的に選ばれる傾向が増す中で、キャンピングカーであれば制限された環境下であっても旅を楽しむことができるといったところが、コロナ禍においても保有台数が順調に伸びている理由だと思います。

こうした状況もあってか、最近「キャンピングカーを宿泊施設にした事業を考えているのですが、旅館業の許可が必要ですか?」といったお問い合わせをちらほら頂きます。

旅館業法では、旅館業について「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」と定義しているのですが、それではキャンピングカーは旅館業法上の施設にあたるのでしょうか?

この点について、国土交通省・厚生労働省の出した「住宅宿泊仲介業者等における短期賃貸借物件等の取扱いについて(平成30年11月6日観観産第545号、薬生衛発1106第1号)」という通知では、「レンタカー、キャンピングカー等と称していても、その実態が施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を営んでいる場合は、旅館業法の適用対象として扱われる場合があるので注意すること。(以下略)」とされていて、キャンピングカーも実態が宿泊施設であれば、旅館業法の適用を受けるとされています。そして、通知にある「その実態」について、厚生労働省は「主目的が移動ではなく宿泊であれば、自治体の許可が必要」との見解を示しています。

これだけ見ると、「レンタカーでもお金を取って宿泊させる場合は、旅館業の許可がいるのか」と思われるかもしれませんが、じつは、肝心の「主目的が移動なのか宿泊なのかを判断するために必要な具体的な基準」については、いまだ示されておらず、いまのところ「キャンピングカーを宿泊施設として利用する場合、旅館業法の許可が必要か?」と問われれば、「許可を取らなくても違法性があるとは断定できない」という回答になってしまいます。

一方で、「新技術等実証制度」(規制のサンドボックス制度)を活用して行われた「キャンピングカーの「空間」の活用に関する実証(2019年)」という実証実験があります。

ここでもキャンピングカーを宿泊施設として利用するのですが、この実験では「本実証で用いられるキャンピングカーは、一定の所在地になく、貸し出しから返却された後は、営業所等に移動させ、清掃等を行った上で次のレンタルを行うこととしている。この貸し出しにおけるキャンピングカーは、キャンプ場で行われるテント、寝具等の貸出しと同様、旅館業法第2条第2項にいう「施設」に該当せず、よって旅館・ホテル営業には該当しないことから、旅館業法の許可を要するものではない。」としており、移動するのであれば、キャンプ場におけるテントや寝具と同じ扱いになると解されています。

このことから、少なくともキャンピングカーが移動できる状態にあり、実際に移動しているのであれば、旅館業法上の「施設」にはあたらないと考えられます。

そんなわけで、私としては「許可と取るのに越したことはないと思いますが、まずは自治体と事前協議を行うことをお勧めします。あっ、もし事前協議が難しいようであれば、弊所で請け負いますよ(←ここ営業(笑))。」とお答えしています。

こうしたキャンピングカーと旅館業法の問題というのは、そもそもこういった宿泊の形態を旅館業法が想定していないことに原因があるわけで、今後もこうした法の想定しないような事態が増えてくれば、旅館業法の改正ということも行われるかもしれません。

それでは、今日はこの辺で。

(参照)
キャンピングカー保有台数は対前年比106.7%の約127,400台に増加!!市場販売総額は582億円となり拡大!!最新キャンピングカー事情を知る「キャンピングカー白書2021」を発行:
https://www.jrva.com/jrvanews/detail.php?assoc_news_cd=235

キャンピングカーの「空間」の活用に関する実証:
https://www.meti.go.jp/…/10/20191017001/20191017001.html

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