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瀬戸内海汽船の新型フェリー「シーパセオ」就航のニュースから、地域限定旅行業の可能性を考える。

瀬戸内海汽船facebookより

(この記事は2019年9月23日に更新しました)

本日は「瀬戸内海汽船の新型フェリー「シーパセオ」就航のニュースから、地域限定旅行業者の可能性を考える。」をテーマにお話を進めていきます。
この記事は、旅行業法施行規則第一条の三第三号に出てくる「観光庁長官の定める地域」について、実際の事例を交えながら具体的に解説しています。

2019年8月1日「シーパセオ」就航!

Webサイト「広島経済新聞」の8月1日付の記事に「広島に新造クルーズフェリー「シーパセオ」 広島・呉-松山航路で運航開始」という記事がアップされていました。

サイト名: 広島経済新聞
URL: https://hiroshima.keizai.biz/
サイト概要: 広域広島圏のビジネス&カルチャーニュース

このシーパセオのデザインコンセプトは、「瀬戸内海の移動を楽しむ、みんなの公園」とのこと。
写真を見ると、2階後方は吹き抜けのパティオになっており、3階部分は屋上展望公園になっています。展望公園には海にせり出すように作られた東屋もあり、約2時間30分の船旅を楽しめる工夫があちこちに設けられています。

目的地に向かう為の手段である「移動」、この移動そのものを観光化してしまおうということですね。普段、松山市に行くときは、車でしまなみ海道を通って行くことが多いのですが、是非次回は、このシーパセオに乗ってみたいと思います。

※紹介動画があったので、ご覧ください。

では、こんな魅力いっぱいのシーパセオを使って募集型企画旅行を取り扱う場合は、どの旅行業登録が必要になるのでしょうか?

観光庁長官の定める区域の変遷

第1種旅行業や第2種旅行業であれば、国内の企画型募集旅行について制約はありませんので、例えば、大阪を発着地として新幹線で移動して、広島市内をバスで観光した後、シーパセオを利用して松山市に渡って道後温泉で宿泊、といったようなプランも取り扱えます。

では、制約のある第3種旅行業や地域限定旅行業ではどうでしょうか?

第3種旅行業や地域限定旅行業の取り扱える募集型企画旅行について、旅行業法施行規則第一条の三の第三号では、「一の企画旅行ごとに一の自らの営業所の存する市町村の区域、これに隣接する市町村の区域及び観光庁長官の定める区域内において実施されるもの」としています。

これをわかりやすく言うと、例えば自分の営業所が広島市にあるのであれば、広島市と広島市に隣接する市区町村(呉市や廿日市市等)と観光庁長官の定める区域内であれば、募集型企画旅行が扱えるということです。

そうすると、シーパセオの寄港地である広島市と呉市、松山市のうち、広島市と呉市は隣接していますが、松山市は瀬戸内海に阻まれて隣接していませんので、どこかが「観光庁長官の定める区域」に含まれていなければ取り扱うことができないということになります。

それでは「観光庁長官の定める地域」とはどんな地域なのかを確認してみましょう。

実は、もともと第3種旅行業の募集型企画旅行の業務範囲は「自らの営業所がある市町村及び隣接する市町村」に限定されていたのですが、平成19年に国土交通省告示第四百四十五号という告示が出され、「観光庁長官(当時は国土交通大臣)の定める地域」が新たに追加されました。

その際に追加されて地域は、「自らの営業所がある市町村及び隣接する市町村から直通の定期航路のある離島」でした。

次いで、平成21年に「同一都道府県内にある半島のうち、直通の定期航路にあるもの」についても「観光庁長官の定める地域」として扱われることになりました。

その後、平成25年に地域限定旅行業が新たに設定されるのですが、結局のところ第3種旅行業の企画型募集旅行および地域限定旅行業の実施範囲というのは、事実上「自らの営業所がある市町村及び隣接する市町村」に限られていたわけです。

ところが、平成30年の「平成19年国土交通省告示第四百四十五号等の一部を改正する告示(観光庁告示第九号)」で、観光庁長官の定める地域について、新たな実施範囲が追加されました。では、この新たな実施範囲を詳しく見てみましょう。

観光庁長官の定める区域の具体例

改正された告示では、観光庁長官の定める地域について、これまでの地域に加え、「地域内及び地域間の交流の促進に資する国内交通網及び輸送に関する拠点(以下「交通拠点」という。)の存する市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域(自らの営業所の存する市町村の区域及びこれらに隣接する市町村の区域を除く。)。」と規定しています。

ここでいう「交通拠点」というのは、「一般に、駅、空港、港湾、複数の路線の発着点として利用されるバスターミナル(平成十九年国土交通省告示第四百四十五号第二号に基づく第三種旅行業務及び地域限定旅行業務の範囲について)」とされています。

つまり、こうした交通拠点のある市町村について、新たに「観光庁長官の定める地域」として実施範囲に含めることができるようになりました。

具体的に例をあげて説明すると、これまでは、広島市に営業所のある第3種旅行業の募集型企画旅行や地域限定旅行業の取り扱う旅行は、発着地および目的地が「広島市および広島市に隣接する市町村」内にあるものしか取り扱えませんでした。

しかし、新たな告示に従えば、交通拠点のある市町村は「観光庁長官の定める地域」として実施区域に含めることができますので、例えば交通拠点のある岡山市を発着地として、岡山で集合したお客さんをバスや鉄道で広島市に来てもらうといった営業も可能になります(もちろん、逆に広島市を発着地として岡山市を目的地とすることも可能です。)。

ただし、岡山と広島との移動の間での「立ち寄り」は認められません。バスで移動中にSAによるということも認められないようですので、あまり遠い場所を実施区域とするのは現実的ではなさそうです。

ただ、それでもこれまでと比較すると格段に営業エリアが広がったことになります。

それでは、以上を踏まえてシーパセオを利用した企画型募集旅行は、実現できるででしょうか?

広島市、呉市、松山市ともに港湾がありますから、どの都市にも交通拠点があると言えます。
ここで注意しなければいけないのが、シーパセオは広島港と松山観光港を往復する際に呉港を経由するということです。

発着地から目的地に向かう途中の立ち寄りは認められませんので、広島から松山、または松山から広島に向かう企画型募集旅行は、シーパセオが呉港に立ち寄るため取り扱えないということになります。

但し、呉市に営業所があれば、広島市は隣接する市町村にあたりますので、広島市から松山市への企画型募集旅行を取り扱うことができるということになります。

一方で松山市に営業所がある場合は、呉市並びに松山市およびその近隣市町村が実施範囲となりますので、広島市には行けません。

なお、これはシーパセオを利用する場合であって、例えば広島・松山直通のスーパージェットを利用するのであれば、広島市・松山市間の企画型募集旅行を取り扱うことも可能です。

まとめ

ここまで、シーパセオを利用した企画型募集旅行を例に挙げながら、「観光庁長官の定める地域」について確認してきました。
私自身としては、この平成30年の告示改正で旅行業界への参入がしやすくなったのではないかと感じています。

旅行業登録を考える際にネックとなるのが「基準資産と営業保証金」です。
第2種だと、旅行業協会に入会したとしても合計で1,400万円、第3種でも360万円が最低限必要です。

一方で、地域限定であれば、最低103万円で済みます。
これまでは「地域限定では実施範囲が狭すぎる。しかし、第2種や第3種だと基準資産等が高すぎる」と参入を躊躇されていた方でも、今回の改正で「まずは地域限定から始めてみよう」というふうに思われるのではないでしょうか?

実際に広島県でも平成31年に入って地域限定旅行業の登録数が増加しています。
これから旅行業にチャレンジしたいという方には、まずは地域限定旅行業でしっかりと足元を固めて、力がついたら第3種や第2種へステップアップすることをお勧めします。

本日は、「広島に新造クルーズフェリー「シーパセオ」 広島・呉-松山航路で運航開始」というニュースから、平成30年に改正された「観光庁長官の定める地域」について確認してみました。

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