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旅行業登録を行う前に知っておきたい基礎知識

(この記事は2019年10月19日に更新しました)

本日は、「旅行業登録を行う前に知っておきたい基礎知識」をテーマにお話を進めていきます。
この記事では、主に旅行業の定義と種別、旅行業登録に必要な要件について解説しています。

まずは「旅行業」の定義を確認

「旅行業」という言葉から、何をイメージされますか?旅行代理店などが販売するバスツアーとかパック旅行とかそういったことを想像された方は、大当たりです。旅行業とは「報酬を得て、旅行者(消費者)のために、運送・宿泊などのサービス(これらをまとめて「運送等サービス」という)の提供を受けることについて、代理して契約を締結し、または取次ぎなどを行う事業(旅行業法第2条第1項各号を要約)」を言います。先ほど例に挙げたパック旅行は、旅行代理店が旅行者から報酬を得て、運送等サービスを代理して手配していますので、まさに「旅行業」と言えます。

さて、ここでポイントとなるのが、「その行為に事業性があるか」という点です。つまり、運送等サービスの代理行為をしたとしても、その行為に事業性が無ければ「旅行業」ではなく、この後に説明する旅行業登録は必要ないということになります。事業性の有無については、①報酬を得ているか②反復継続性があるか③不特定多数を対象としているか、という3つ視点から判断されます。

①報酬を得ているか

①の「報酬を得ているか」ですが、例えば旅行者からはお金を取っていなくても、宿泊先や運送会社からキックバックを得ていれば「報酬を得ている」ことになります(旅行業法施行要領)。また、利益が無くても経済的収入を得ていれば報酬とみなされますので、例えば参加者から宿泊料と運賃等の実費を包括料金として集めた場合、そこに利益がなくとも、その料金はいったん事業者の収入として計上されることになるので、「報酬を得ている」とみなされます(旅行業法施行要領

②反復継続性があるか

②の「反復継続性があるか」は、事業として繰り返し行っているかということです。ただ、これは実際に繰り返し行っていなくても、将来反復される可能性があると判断されると「反復継続性がある」と判断されてしまう場合もあります。例えば、あるアイドルが広島市でコンサートを開催する際に、広島在住のファンが幹事となって遠方のファンのために「広島駅まで来てくれたら、車とホテルはこちらで用意するよ」などと言ってSNSなどで応募者を募って会費を集めたとします。この場合、幹事が「1回きりのつもりでした」と言っても、今後も広島市でコンサートが開催される限りは、反復継続性がないとは言えません。なぜなら、今回の指摘がなければ、次回も企画していたかもしれないからです。もし、「1回切りのつもりで行った」ということが客観的に説明できない場合は、「反復継続性がある」と判断される可能性があります。

③不特定多数を対象としているか

③の「不特定多数を対象としているか」については、広く一般を対象としているかということになります。逆に不特定多数とは言えない場合をあげるとわかりやすいのですが、例えば「会社で社員を対象として幹事が募集する」とか「学校内で生徒を対象として募集する」などがあげられます。互いに日常的接触のある団体内部で参加者の募集がなされ、かつ、当該団体の構成員により募集がされているであれば、不特定多数という要件は満たさないとされています。

最近では、「自治体が実質的にツアーの企画・運営に関与し,かつ,営利性,事業性がないものであれば旅行業法の適用がないと解される(平成29年7月28日観光庁通達)」として、自治体の主催するツアーについて一定の条件を満たせば旅行業法の適用を受けないといった通達も出ています。もし、ご自分の考える事業が旅行業にあたるかどうかが不安な場合は、行政庁や弊所のような専門家に相談されるとよいでしょう。

なお、旅行業者の企画したパッケージツアーなどを代理人として販売等を行う事業のことを「旅行業者代理業」、旅行業者から委託を受けて、宿泊施設や運送サービス、ガイド等を手配するといったいわゆるラウンドオペレーター業務のことを「旅行サービス手配業」と言い、旅行業とは区別されます(旅行業法第2条第2項および第6項)。

旅行業には種類がある

続いて旅行業登録という制度についてみていきましょう。

旅行業法第1条では「この法律は、旅行業等を営む者について登録制度を実施し、あわせて旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保するとともに、その組織する団体の適正な活動を促進することにより、旅行業務に関する取引の公正の維持、旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的とする。」とされており、国が登録制度を通じて旅行者の安全や利便性の向上を促進することを謳っています。
そして同法第3条では、「旅行業または旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければない」として、この登録を行わないものは旅行業や旅行業者代理業ができないことになっています。
また、旅行サービス手配業についても旅行業法第23条で、「旅行サービス手配業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない」とされており、やはり登録が必要です。

さて、この登録制度ですが、取り扱う業務の範囲により、「第1種旅行業者」「第2種旅行業者」「第3種旅行業者」「地域限定旅行業者」「旅行業者代理業者」の5つに区分されます。これに「旅行サービス手配業」を加えた6つが主な登録区分となります。実は、このほかにも、「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律(観光圏整備法)」に基づく旅行業法の特例措置として、「観光圏内限定旅行業者代理業者」という登録区分もあるのですが、かなり限定的な制度なので、興味のある方はこちらの観光庁のサイトをご確認ください。

区分ごとに取り扱える業務は以下の通りとなっています。

旅行業等の区分 取り扱える業務の範囲
企画旅行 手配旅行※3
募集型※1 受注型※2
海外 国内
旅行業者 第1種
第2種
第3種
地域限定
旅行業者代理業 所属する旅行業者から委託された業務
旅行業等の区分 取り扱える業務の範囲
旅行サービス手配業 旅行業者(外国旅行業者を含む)から依頼された運送等サービス
および運送等関連サービスの代理契約・媒介・取次

※1募集型企画旅行:旅行業者が、あらかじめ旅行計画を作成し、旅行者を募集するもの(例:パッケージツアー)
※2受注型企画旅行:旅行業者が、旅行者からの依頼により旅行計画を作成するもの(例:修学旅行)
※3手配旅行:旅行業者が、旅行者からの依頼により宿泊施設や乗車券等のサービスを手配するもの

もし、海外旅行のパッケージツアーを商品として取り扱いたい場合は、第1種旅行業者の登録が必要です。国内だけでよいのであれば第2種旅行業者ということになります。ちなみに受注型企画旅行は、国内外を問いませんから、受注型に限れば第3種旅行業者でも海外旅行を取り扱えます。
表内にある△は、「出発地、目的地、宿泊地および帰着地が営業所の存する市町村、それに隣接する市町村、および、観光庁長官の定める区域内(リンク先下部の<第三種旅行業務及び地域限定の範囲について>の各資料を参照)」でのみ、業務が可能であることを表します。例をあげると、広島市に営業所を構える旅行業者が第3種旅行業者の登録を受けた場合、「旅行者が広島駅に現地集合して、貸切バスで広島市内にある平和公園および隣接する呉市の大和ミュージアムをまわった後、同じく隣接する廿日市市の宮島に渡り、一泊して、翌日に広島駅で現地解散する」といったような募集型企画旅行を取り扱うことができるということになります。

旅行業登録に必要な登録要件

それでは、どうすれば旅行業登録ができるのでしょうか?登録に必要な要件を確認していきましょう。

①人的要件

旅行業法第6条第1項第1~8号には、申請者の人的要件が規定されいます。申請者が、以下の8項目のいずれかに該当する場合は登録ができません。

①過去5年間に旅行業等の登録を取り消された者(法人の場合は、過去5年間に旅行業等の登録を取消された法人で、当時役員であった者が役員にいる法人。)
②過去5年間に禁錮以上の刑、またはこの法律に違反して罰金刑に処せられた者
③暴力団員等
④申請前5年以内に旅行業務等に関し不正な行為をした者
⑤未成年者等
⑥成年被後見人等で復権を得ない者
⑦申請者が法人の場合、その役員に①~④又は⑥のいずれかに該当する者があるもの
⑧暴力団員等がその事業活動を支配する者

②資産要件

旅行業務というのは比較的小さな設備で取り扱うことができますが、その取引額は必ずしも少なく、トラブル等が起きたときの旅行者への影響も小さくありません。
そこで旅行業法第6条第1項第10号および旅行業施行規則第3条では、登録区分に応じて基準資産額というものを設け、財務基盤の弱い事業者の参入を防いでいます。
また、万が一の場合でも旅行者が旅行代金等の弁済を受けることができる制度を設けており、登録業者には営業保証金の供託もしくは弁済業務保証金分担金の納付を義務付けています(旅行業法第8条および旅行業法施行規則第7条)。
基準資産額と営業保証金および弁済業務保証金分担金の額は、以下のとおりです。

旅行業等の区分 基準資産額 営業保証金※1
(弁済業務保証金分担金※2)
旅行業者 第1種 3,000万円 7,000万円
(1,400万円)
第2種 700万円 1,100万円
(700万円)
第3種 300万円 300万円
(60万円)
地域限定 100万円 15万円
(3万円)
旅行業者代理業 不要
旅行サービス手配業 不要

※1営業保証金は、年間の取引額が400万円未満の場合であり、以降、取扱額の増加に応じて、供託すべき金額が加算されます。
※2旅行業協会に加入している場合、営業保証金の供託に代えて、その5分の1の金額を弁済業務保証金分担金(カッコ内の金額)として納付できます。

例えば、第3種旅行業者に登録しようとすると、最低でも基準資産300万円と営業保証金300万円を準備しておかなければならないということになります。
ここで注意していただきたいのが、「基準資産=資本金ではない」ということです。基準資産額は、貸借対照表の資産から負債の総額や不良債権、繰延資産、営業権、そして営業保証金(もしくは弁済業務保証金)を除した額を言います。ご相談を頂く中で「資本金が300万円あるから、第3種旅行業の基準資産額は満たしています」というお話を頂くことがあるのですが、基準資産額はこの資本金から営業保証金等を引いたものですので、これでは基準資産額に足りていないということになります。
なお、営業保証金の供託に代えて、弁済業務保証金分担金の納付を行う場合は、旅行業協会の入会審査および入会金・年会費の支払いが別途必要となります。

③資格者要件

旅行業法第6条第1項第9号では、旅行業務取扱管理者を営業所ごとに配置するよう規定されています。
旅行業務取扱管理者試験には、「総合」「国内」「地域限定」の3種類あり、海外旅行を取り扱う営業所では「総合」、国内旅行だけであれば「総合」または「国内」、国内旅行のうち営業所の所在する市町村及び隣接市町村の範囲内に限られる旅行だけを取り扱う営業所であれば「総合」「国内」「地域限定」のいずれかの資格を持つ管理者を選任する必要があります。
なお、旅行サービス手配業については、総合・国内旅行業務取扱管理者に代えて、「旅行サービス手配業務取扱管理者研修」という研修を修了したものでも代替が可能です。

まとめ

今回は、旅行業登録を検討する際に知っておきたい定義や制度の概要、登録要件を確認してみました。
旅行業は、その事業規模に対して比較的安価に事業が開始できるということもあって、登録にあたっては金銭面でのハードルを高く設定しているという特徴があります。
また、登録種別をいくつも設けることで、会社の規模に応じて適切な業務範囲というものを設定しています。
その結果、「どの登録種別を選択すればいいのかわからない」「要件を本当に満たせるのかが不安」といったお声もよく伺います。

このような疑問のある方は、各都道府県の担当窓口や旅行業を扱う行政書士事務所にご相談されるとよいでしょう。

本日は、「旅行業登録を行う前に知っておきたい基礎知識」をテーマに、旅行業の定義や制度の概要、登録要件などについて確認してみました。

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