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キャンピングカーを宿泊施設にすることは旅館業法の規制対象になるのか

(記載:2020年1月11日)

行政書士つなぐ法務事務所の時村公之です。
今回は「キャンピングカーを宿泊施設にすることは旅館業法の規制対象になるのか」というテーマで、キャンピングカーと旅館業の関わりについて解説していきます。

この記事は、キャンピングカーを利用したキャンプサイトについて法規制まわりの知識を得たい方に向けて作成しています。
それでは早速見て行きましょう!

前回のおさらい

前回の記事(旅行仲介サイト(プラットフォーマー)に旅行業登録は必要か?)でご紹介した観光ガイド(Bガイド)のサービス内容を改めて確認してみましょう。

Bガイドが提供するサービスの内容は、以下の通りでした。

  • 大自然の中での川釣りや虫取り等の体験とキャンピングカーでの宿泊体験
  • 参加費を払った旅行者を自身の所有するキャンピングカーで宿泊させる
  • 集合場所からの移動は旅行者の自家用車を想定しているが、公共交通機関で来た場合は、Bガイドのキャンピングカーに乗せて移動する
  • 旅行者がBガイドのキャンピングカーを利用せず、自前のテント等に宿泊する場合でも、参加費用は同額
  • 同様に移動にBガイドのキャンピングカーを利用しても参加費用は同額

Bガイドは旅行業登録を行っていませんが、登録が必要ないということは、前回のブログでご案内しました。

ところで、Bガイドは自前のキャンピングカーを利用して宿泊サービスを行うとしています。
これって旅館業法の規制にかからないのでしょうか?

キャンピングカーは旅館業法上の施設にあたるのか?

旅館業法では旅館業を「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」と定義しています(旅館業法第二条要約)。

そして、国土交通省・厚生労働省の出した「住宅宿泊仲介業者等における短期賃貸借物件等の取扱いについて(平成30年11月6日観観産第545号、薬生衛発1106第1号)」という通知では、「レンタカー、キャンピングカー等と称していても、その実態が施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を営んでいる場合は、旅館業法の適用対象として扱われる場合があるので注意すること。(以下略)」とされていて、キャンピングカーも実態が旅館業であれば、旅館業法の適用を受けるとされています。

となると、まず問題になってくるのが、キャンピングカーが旅行業法上の施設にあたるのかということです。

この判断について、厚生労働省はキャンピングカーについて「主目的が移動ではなく宿泊であれば、自治体の許可が必要」との見解を示していますが、肝心の「主目的が移動なのか宿泊なのかを判断するために必要な具体的な基準」については、いまだ示されていません。

なぜこのような事態になっているのか?その根本的な理由は、旅館業法や住宅宿泊事業法がキャンピングカーの宿泊施設として使用することを想定していないからです。
その為、「キャンピングカーを宿泊施設として利用する場合、旅館業法の許可が必要か?」と問われれば、「許可を取らなくても違法性があるとは断定できない」という、なんとも煮え切らない回答になります。

なお、国土交通省は、「コンテナを利用した建築物の取扱いについて(平成16年12月6日 国住指第2174号)」という技術的助言のなかで、「随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び仕様の実態から建築基準法第2条第一号に規定する建築物に該当する」としているので、キャンピングカーについても、移動させることなく宿泊施設として使用する場合は、車両ではなく建築物として扱われるため、旅館業法の適用を受ける可能性があります。

とは言うものの、コンテナとキャンピングカーを同列に扱うこともできませんので、ここも解釈が分かれるところではあります。

専門家としては、「違法性を問われる可能性があるのであれば、許可を取っておくほうが良い」と考えます。

あわせて「宿泊料を受けて」「人を宿泊させる」についても解説

折角ですので、「宿泊料をうけて」についても確認していきましょう。

宿泊料について厚生労働省のHPでは、「『宿泊料を受けること』が要件となっており、宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けない。」と記載されており、宿泊料を受けなければ旅館業法の適用は受けないと説明しています。

ただし、「宿泊料は名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものは含まれる。」としており、休憩料、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費など、実質的に宿泊料とみなされます。

また、宿泊施設付きの研修施設(セミナーハウス)等が研修費を徴収している場合も、例えば当該施設で宿泊しないものも含め研修費は同じとするなど当該研修費の中に宿泊料相当のものが含まれないことが明白でない限り研修費には宿泊料が含まれると推定されるとしています。

Bガイドの場合、キャンピングカーを使用する場合も使用しない場合も参加費用は同額ということですから、宿泊料を受けていないという解釈が成り立つと思われます。
しかし、念のため参加費用の内訳を明記するなど、宿泊料が含まれていないことを明確にしておいた方が良いでしょう。

なお、「人を宿泊させる」の宿泊とは、「寝具を使用して施設を利用すること」とされていますので、ベットや布団、毛布などの寝具を備えた施設を提供する場合は「人を宿泊させる」ということになります。

まとめ

さて、ここまで「キャンピングカーを宿泊施設にすることは旅館業法の規制対象になるのか」について確認してみましたが、いかがだったでしょうか?

近年のアウトドアブームの盛り上がりから、今回ご案内したようなキャンピングカーや利用したサービスや、グランピングという新しいタイプの宿泊施設など、旅館業法や住宅宿泊事業法では想定していなかったサービスが生まれています。
こうしたなか、国も新たな法整備や実証実験などを行い、対応を進める努力はしていますが、なかなか追いついていないというのが現実です。

そこで、こうした法律が想定していない新しいサービスを展開する際に大切なのが、現在の法律の中で「どうすれば合法的にできるのか」という視点です。
この視点を無視して突き進んでしまうと、どんなに良いサービスであっても、いずれ違法性が問われ、事業が継続できなくなってしまいます。

ですから、最初の段階でこうした「法的リスク」を回避できるよう、ご自身が提供する商品・サービスに関わる法令や判例などをしっかりと理解し、行政機関とも交渉を行うなど、事前の対策を打っておくことが大切です。

以上、「キャンピングカーを宿泊施設にすることは旅館業法の規制対象になるのか」というテーマで、キャンピングカーと旅館業の関わりについて解説しました。

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