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旅館業法の違反行為を詳しく解説!

(記載:2020年7月6日)

行政書士つなぐ法務事務所の時村公之です。
今回は「旅館業法の違反行為を詳しく解説!」というテーマで、旅館業法の違反行為の種類とその罰則について詳しく解説していきます。

それでは早速見ていきましょう!

はじめに

旅館業法は、19条の条文で構成される、比較的条文の少ない法律です。

その中で、第7条が立入検査等、第7条の2が業務改善命令等、第8条が許可取消処分等について規定され、罰則については第10条から第13条に規定されています。

旅館業法の違反行為は違反行為は、以下のように分類され、それぞれに罰則が設けられています。

・無許可営業
・許可の取消処分命令、営業停止命令に対する命令違反
・営業上の義務違反
・立入検査等の妨害・必要な報告等の義務違反
・公衆衛生上又は善良の風俗の保持上必要な措置命令に対する命令違反

それでは、それぞれの違反行為について詳しく見て行きましょう。

無許可営業

旅館業法では、以下の通り、無許可営業を行う者に対して、報告徴収や立入検査を行います。

旅館業法第7条第2項都道府県知事は、旅館業が営まれている施設において第7条の2第3項の規定による命令をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、当該旅館業を営む者(営業者を除く。)その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該職員に、旅館業の施設に立ち入り、その構造設備若しくはこれに関する書類を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

旅館業法における営業者とは、旅館業の許可を受けて旅館業を営む者(旅館業法第3条の2)のことです。条文では「当該旅館業を営む者(営業者を除く。)」とあることから、この条文は「許可をうけていない者=無許可営業者」を対象にした条文であることが分かります。

そして調査の結果、処置が必要と判断された場合は、営業停止等の処置が命じられます。

旅館業法第7条の2第3項都道府県知事は、この法律の規定に違反して旅館業が営まれている場合であつて、当該旅館業が営まれることによる公衆衛生上の重大な危害の発生若しくは拡大又は著しく善良の風俗を害する行為の助長若しくは誘発を防止するため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該旅館業を営む者(営業者を除く。)に対し、当該旅館業の停止その他公衆衛生上又は善良の風俗の保持上必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

無許可営業を行った者には、罰則として6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその併科が処されることになります(旅館業法第10条第1号)。

許可の取消処分命令、営業停止命令に対する命令違反

旅館業法では、設備等が法に定める基準に適合しなくなった施設の営業者に対して、業務改善命令を出すことができます。

旅館業法第7条の2第1項都道府県知事は、旅館業の施設の構造設備が第三条第二項の政令で定める基準に適合しなくなつたと認めるときは、当該営業者に対し、相当の期間を定めて、当該施設の構造設備をその基準に適合させるために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

こうした業務改善命令や旅館業法に基づく処分に違反した場合、または営業者等が以下の各号にあたると判断された場合は、許可の取消処分または1年以内の営業停止(全部または一部)を命じられます。

旅館業法第8条都道府県知事は、営業者が、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定若しくはこの法律に基づく処分に違反したとき、又は第三条第二項各号(第四号を除く。)に該当するに至つたときは、同条第一項の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて旅館業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。営業者(営業者が法人である場合におけるその代表者を含む。)又はその代理人、使用人その他の従業者が、当該旅館業に関し次に掲げる罪を犯したときも、同様とする。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十四条、第百七十五条又は第百八十二条の罪
二 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)に規定する罪(同法第二条第四項の接待飲食等営業及び同条第十一項の特定遊興飲食店営業に関するものに限る。)
三 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二章に規定する罪
四 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二章に規定する罪

また、上記の取消処分や営業停止処分に従わなかった場合は、罰則として6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその併科が処されます(旅館業法第10条第2号)。

営業上の義務違反

旅館業者は、理由なく宿泊しようとする者の宿泊を拒んではいけません。

旅館業法第5条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
一 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。
二 宿泊しようとする者が“とばく”、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。
三 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。

また、宿泊者名簿の備付け等の義務もあります。

旅館業法第6条第1項営業者は、厚生労働省令で定めるところにより旅館業の施設その他の厚生労働省令で定める場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事の要求があつたときは、これを提出しなければならない。

これらの義務に違反した場合は、50万円以下の罰金が処されます(旅館業法第11条第1号)。

立入検査等の妨害・必要な報告等の義務違反

旅館業法では、無許可営業者に対して報告徴収や立入検査が行える(旅館業法第7条第2項)と解説しましたが、同様に営業者に対しても必要に応じて報告徴収や立入検査が行えます(旅館業法第7条第1項)。

そして、これらの報告徴収や立入検査等に対して、虚偽報告や検査妨害等を行った場合は、50万円以下の罰金が処されます(旅館業法第11条第2号)。

公衆衛生上又は善良の風俗の保持上必要な措置命令に対する命令違反

旅館業法では、必要に応じて公衆衛生上または善良の風俗の保持のために必要な措置を講ずるよう、業務改善命令を出すことができます。

旅館業法第7条の2第2項都道府県知事は、旅館業による公衆衛生上の危害の発生若しくは拡大又は善良の風俗を害する行為の助長若しくは誘発を防止するため必要があると認めるときは、当該営業者に対し、公衆衛生上又は善良の風俗の保持上必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

また、無許可営業者に対しても、同様に業務改善命令を出すことができることは、前出の無許可営業の項での解説の通りです(旅館業法第7条の2第3項)。

そして、これらの業務改善命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が処されます(旅館業法第11条第3号)。

両罰規定

最後に、旅館業法第13条には両罰規定が設けられています。

旅館業法大13条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第10条又は第11条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

ですから、これらの罰則は、行為者のみならず、その法人や雇用主にも科せられることになります。

まとめ

さて、ここまで旅館業法違反についてその種類と罰則について見てきましたが、いかがだったでしょうか?

ちなみに旅館業法第12条では、宿泊者が宿泊者名簿に虚偽の記載をした者について、「拘留又は科料に処する」とあり、宿泊者に対しても罰則を設けています。

今回は「旅館業法の違反行為を詳しく解説!」というテーマで、旅館業法の違反行為の種類とその罰則について詳しく解説しました。

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