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旅行仲介サイト(プラットフォーマー)に旅行業登録は必要か?

(記載:2020年1月9日)

行政書士つなぐ法務事務所の時村公之です。
今回は「旅行仲介サイト(プラットフォーマー)に旅行業登録は必要か?」というテーマで、プラットフォーマーと旅行業登録について解説していきます。

この記事は、ウェブサイトで旅行者向けの情報提供サービスを行う事業者に向けて作成しています。
それでは早速見て行きましょう!

あるプラットフォーマーからの相談

年明け早々、東京のある会社(仮にA社としておきましょう)からお問合せを頂きました。

お問合せの内容は、「A社は、全国各地の観光ガイドが提供するサービスをA社が運営するサイトで紹介し、サービスを利用したい旅行者とをマッチングさせるサービスを提供しています。最近、A社に登録の申し込みのあった観光ガイド(Bガイド)の提供するサービスが運送や宿泊を伴うものだったのですが、これを紹介することは旅行業法違反にならないでしょうか?」というものでした。

さて、気になるBガイドが提供するサービスの内容ですが、それが

  • 大自然の中での川釣りや虫取り等の体験とキャンピングカーでの宿泊体験
  • 参加費を払った旅行者を自身の所有するキャンピングカーで宿泊させる
  • 集合場所からの移動は旅行者の自家用車を想定しているが、公共交通機関で来た場合は、Bガイドのキャンピングカーに乗せて移動する
  • 旅行者がBガイドのキャンピングカーを利用せず、自前のテント等に宿泊する場合でも、参加費用は同額
  • 同様に移動にBガイドのキャンピングカーを利用しても参加費用は同額

というものです。

旅行業法では旅行業を「報酬を得て、旅行者が運送又は宿泊サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為を行う事業(旅行業法第二条第1項要約)」と定義しています。
確かに、A社がBガイドを紹介することは、運送や宿泊サービスの媒介・取次ぎをする行為と見えなくもありません。

A社もBガイドも旅行業登録をしていないということなのですが、果たしてA社は旅行業違反になるのでしょうか?

プラットファーマーに旅行業登録は必要か

それでは実際に法令と照らし合わせながら確認していきましょう。

A社の場合、一見すると旅行者とサービス提供者との間に入って、取次ぎ行為を行っているように見えます。

しかし、旅行業法施行要領(平成17年2月28日国総旅振第386号)では、旅行業に該当しない場合の例として、「ウェブサイトを介して旅行取引を行う場合で、旅行者と旅行業者又はサービス提供事業者との間での取引に対し働きかけを行わない場合(遅くとも予約入力画面から予約確認画面に移行する際(すなわち、予約入力画面に入力された情報を送信する際)までに、旅行者と旅行業者又はサービス提供事業者との間での取引となる旨が明確に表示されている場合)」をあげています。

つまり、インターネット等のウェブサイトについては、申込者である旅行者とサービス提供者との間での取引であることが明示されており、契約締結に向けた積極的な交渉を行わず、あくまでも情報提供がメインである場合は、旅行業法には当たらないということです。

A社の場合、旅行者とサービス提供者とのマッチングさせるための情報提供がサービスの主たる目的としており、申し込み等についても情報を機械的に処理するだけでしたので、旅行業法上の旅行業にはあたらないと言えるでしょう。

観光ガイドの場合はどうか

折角ですのでBガイドについても確認してみましょう。

Bガイドの場合、現地までの運送や宿泊サービスが受けられるようキャンピングカーの手配をしています。

こちらも前出の旅行業法施行要領を確認すると、「運送事業者が自ら行う日帰り旅行、宿泊事業者自らが行うゴルフや果樹園との提携企画等運送又は宿泊サービスを自ら提供することは、代理、媒介、取次ぎ、利用のいずれにも該当せず、したがって基本的旅行業務とならない」とされ、運送・宿泊サービスを自ら提供する場合は、旅行業務とはならないとしています。

Bガイドの場合もキャンピングカーは自前であり、運送・宿泊サービス業者との間に入って代理で契約をしたり、取次ぎ行為をしているわけではありません。

よって、Bガイドも旅行業法に違反しているとは言えないことになります。

まとめ

さて、ここまで「旅行仲介サイト(プラットフォーマー)に旅行業登録は必要か?」について確認してみましたが、いかがだったでしょうか?

前述の通り、旅行仲介サイトのようなプラットフォーマーは、情報提供を主なサービスとしている限りは旅行業登録は必要ありません。
ちなみに大手の宿泊仲介サイト(楽天トラベル・一休.com・エクスペディア等)は旅行業登録を行って、「手配旅行」として取り扱っているケースも多いのですが、これも「念のため」というニュアンスが強いと思われます。

ところで、Bガイドは旅行業登録は不要と判断できましたが、自前で宿泊サービスを行うということは、旅館業法に引っかかるのではないかと思われませんか?
その点については、次回のブログで解説したいと思います。

以上、「旅行仲介サイト(プラットフォーマー)に旅行業登録は必要か?」というテーマで、プラットフォーマーと旅行業登録について解説しました。

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