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入会している旅行業協会を変更すると、納付している弁済業務保証金分担金はどうなるのか?

(記載:2020年4月8日)

行政書士つなぐ法務事務所の時村公之です。
今回は「入会している旅行業協会を変えると、納付している弁済業務保証金分担金はどうなるのか?」というテーマで、旅行業協会を退会する場合の弁済業務保証金分担金の取扱いについて解説していきます。

この記事は、弁済業務保証金分担金の返還手続きの流れについて知りたい方に向けて作成しています。
それでは早速見ていきましょう!

所属する旅行業協会をJATAからANTAに変更したい

先日、長野県にある旅行業者様からご質問を頂きました。

ご質問の内容は、「現在、JATA(日本旅行業協会)に入会しているのだが、これをANTA(全国旅行業協会)に変更したい。この場合、どのようにしたら変更できるのだろうか?」といったものでした。

この旅行業者様は登録区分が第2種旅行業で、現在はJATAに入会されています。しかし、新型コロナウイルスの影響などもあり、少しでも経費を押さえたいということで、年会費の安いANTAへの入会を検討しているとのことでした。

しかし、JATAからANTAへの変更を考えた際に、入会や退会の手順や、納付した入会金や年会費・弁済業務保証金分担金がどうなるのかが分からない、ということで弊所にお問合せがありました。

この旅行業者様と同じようなことを検討されている方もあるのではないかと思い、今回は旅行業協会を変更する際の注意点についてご案内します。

弁済業務保証金負担金の納付を途切れさせるわけにはいかない

旅行業協会の変更を検討する際に、一番気になるところが、弁済業務保証金負担金の取扱いについてです。

この弁済業務保証金負担金については、旅行業協会の間で移動するというようなことはないため、旅行業協会を変更する場合は、新たに入会する旅行業協会に納付しなおさなければなりません。

しかも、弁済業務保証金負担金の納付を途切れさせるわけにはいかない為、まず先に旅行業協会に入会して、入会が承認されて弁済業務保証金負担金を納付した後に、これまで入会していた旅行業協会の退会手続きを行うという流れになります。ですから、退会手続きが完了して弁済業務保証金分担金の返還を受けるまでは、弁済業務保証金分担金を二重に納付しているという状態になります。

なお、JATA・ANTAともに既に支払っている入会金および年会費については返金されません(注:ANTA入会の際に協同組合に出資を行った場合は、その出資金は返還されます)。

弁済業務保証金分担金は、すぐには還ってこない

入会金や年会費と違い、弁済業務保証金分担金については、返還手続きすることで還ってきます。ただ、退会したからと言って、すぐに返還されるわけではありません。

この弁済業務保証金分担金の返還方法については、旅行業法第51条に規定されていますので、順を追って説明していきましょう。

法第51条第1項では、「旅行業協会は、保証社員が旅行業協会の社員の地位を失つたときは、当該保証社員であつた者が(中略)納付した弁済業務保証金分担金の額に相当する額の弁済業務保証金を(中略)取り戻すことができる。」とあり、旅行業協会は、所属する旅行業者が退会等の理由で所属を外れると、旅行業協会が供託していた弁済業務保証金のうち、退会する旅行業者が納付していた弁済業務保証金分担金に相当する額の弁済業務保証金を供託所より取り戻します。

次に第3項では、「旅行業協会は、(中略)弁済業務保証金を取り戻したときは、当該保証社員であつた者(中略)に対し、その取り戻した額に相当する額の弁済業務保証金分担金を返還する。」とあり、旅行業協会は、その取り返した弁済業務保証金を弁済業務保証金分担金として旅行業者に返還することになっています。ここまでだと旅行業協会を退会すると自動的に納付した弁済業務保証金分担金が旅行業者に還ってくるように見えます。

しかし、続く第4号では、「前項の場合において、当該保証社員が社員の地位を失つたときは次項に規定する期間が経過した後、(中略)前項の弁済業務保証金分担金を返還する。」とあり、退会等を理由とする場合の弁済業務保証金分担金の返還にあたっては、ある一定の期間が経過しないと返還しないことになっています。

そして、第5項では、「旅行業協会は、保証社員が社員の地位を失つたときは、(中略)第48条第1項の権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に同条第2項の認証を受けるため申し出るべき旨を公告しなければならない。」として、法は、旅行業協会に対して、退会等の理由で所属を外れる者が出た場合は、そのことについて6ヶ月以上の公告をすることを義務付けています。

第5項の中にある「第48条第1項の権利を有する者」とは、旅行業協会が供託している弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する者のことで、要は当該旅行業者と取引のあった旅行者(消費者)のうち、当該旅行業者に対して債権のある人のことを言います。通常、こうした旅行者が旅行業協会の弁済業務保証金から弁済を受ける場合は、まず旅行業協会の認証を受けなければならなりません(同条第2項)。

ですから、この旅行業法第51条第5項では、こうした弁済の必要な旅行者が、弁済を受けるために必要な旅行業協会の認証を受ける機会を確保するため、旅行業協会に対し、退会する旅行業者の情報を6ヶ月以上公告することで、広く告知することを義務付けているのです。

公告は、官報にて行います。なお、官報への出稿は旅行業協会が行いますが、掲載料(2~3万円)は旅行業者が負担することになります。

こうして、6ヶ月以上の公告が完了した後、返還手続きを行うことで弁済業務保証金分担金が返還されます。通常、弁済業務保証金分担金が返還されるまで、官報への掲載から7~8ヶ月程度かかります。

まとめ

ここまで旅行業協会を変更する際の入退会の順序や弁済業務保証金分担金の返還手続きの流れを確認してきましたが、いかがでしょうか。

この他にも、ANTAは入会受付を2ヶ月に1回しか行っておらず、入会の審査も1ヶ月程度かかりますので、すぐに入会できるわけではありません。一度入会した旅行業協会を変更するというのは、手間も時間もかかるので、どちらの旅行業協会に入会するか、しっかりと吟味されることをお勧めします。

以上、「入会している旅行業協会を変えると、納付している弁済業務保証金分担金はどうなるのか?」というテーマで、旅行業協会を退会する場合の弁済業務保証金分担金の取扱いについて解説しました。

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