最新記事

旅行業の登録種別を変更したい場合の手続きについて

(記載:2020年6月29日)

行政書士つなぐ法務事務所の時村公之です。
今回は「旅行業の登録種別を変更したい場合の手続きについて」というテーマで、旅行業登録の変更登録申請ついて解説していきます。

それでは早速見ていきましょう!

変更登録申請とは

旅行業を始める際には、ご自身の事業計画にあわせて「第1種」「第2種」「第3種」「地域限定」の4つの登録区分のどれかで旅行業登録をおこないますが、事業の成長にあわせて「もっと催行範囲を広げたい」とか、逆に「催行範囲を絞って活動したい」というように、必要とする登録種別が変わってくる場合もあります。

旅行業法第6条の4第1項には、「旅行業の登録を受けた者(以下「旅行業者」という。)は、第4条第1項第3号の業務の範囲について変更をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、観光庁長官の行う変更登録を受けなければならない。」とあり、国土交通省令の定めに従って登録種別が変更できることが定められています。これを変更登録申請と言います。

この変更登録申請を行うことで、例えば第3種から第1種や第2種・地域限定というように登録種別を変更することができます。

ただし、変更登録申請は誰でもできるわけではなく、続く第2項には、変更登録ができない事業者として、以下の同法第6条第1項第9・10号に該当する者をあげています。

旅行業法第6条第1項(前略)
九 営業所ごとに第11条の2の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
十 旅行業を営もうとする者であつて、当該事業を遂行するために必要と認められる第4条第1項第3号の業務の範囲の別ごとに国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しないもの
(以下略)

つまり、①適切な旅行業務取扱管理者を専任できること②登録に必要な基準資産額を確保できること、の2つをクリアできていなければ変更登録申請はできません。

変更登録申請手続き

変更登録申請を行う場合の手続きは、国土交通省令である旅行業法施行規則や各自治体の条例等で定められており、申請に必要な書類は通常以下の通りです。

変更登録申請に必要書類・登録申請書(1)
・登録申請書(2) ※該当する場合
・登録申請書(3) ※該当する場合
・旅行業務に係る事業の計画
・航空券発券に係る契約書の写し ※該当する場合
・海外手配業者等との契約書の写し ※該当する場合
・旅行業務に係る組織の概要
・直近の法人税の確定申告書及び添付書類の写し ※法人
・財産に関する調書 ※個人
・旅行業務取扱管理者専任一覧表
・選任管理者の合格証又は認定証の写し
・選任管理者の履歴書
・選任管理者の欠格事由に該当しない旨の宣誓書
・旅行業約款
・営業保証金供託書又は弁済業務保証金分担金納付書の写し

ただし、自治体によっては必要とされるものが異なりますので、詳しくは登録行政庁の担当課にお問い合わせください。なお、第1種旅行業登録への変更登録申請を行う場合の申請先は、主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局の企画部観光課(沖縄県については沖縄総合事務局運輸部企画室)となります。

登録行政庁にもよりますが、登録変更申請の手続きには通常1~2か月程度かかります。もし、登録変更申請中に変更前の登録の期間が満了してしまうと、旅行業登録は抹消されてしまいますので、更新時期が近付いてから行う登録変更申請には注意が必要です。

旅行業協会の登録変更に伴う手続き

旅行業協会に入会している場合、登録の変更に伴い弁済業務保証金分担金の差額分を納付します。

登録変更申請の審査が完了すると、登録通知書が発行されます。登録通知書の受領後14日以内に弁済業務保証金分担金の差額分を納付して、納付通知書の写しを登録行政庁に提出すると手続きは完了します。この辺りは、新規登録のときと同じですね。

なお、全国旅行業協会(ANTA)に入会している場合、入会金の差額分を弁済業務保証金分担金の差額分と一緒に納付します。一方、日本旅行業協会(JATA)であれば、入会金・年会費は登録種別にかかわらず一律ですので、差額分は発生しません。

まとめ

さて、ここまで旅行業登録の変更登録申請の要件や手続きについて見てきましたが、いかがだったでしょうか?

ここではふれませんでしたが、営業保証金を供託してして地域限定旅行業登録をしている旅行業者が、第2種や第3種に変更登録するタイミングで旅行業協会に入会して弁済業務保証金分担金の納付に切り替える場合は、営業保証金の取戻手続きなども必要になります。

以上、「旅行業の登録種別を変更したい場合の手続きについて」というテーマで、旅行業登録の変更登録申請ついて解説しました。

関連記事

ページ上部へ戻る