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10.312019
違法民泊、なぜやってしまう!?
(このページは2019年10月31日に更新されました)
こんにちは。行政書士つなぐ法務事務所の時村公之です。
今回は、違法民泊の現状や違法民泊を行う理由について、ご案内します。
今回の記事は、民泊を始めてみたいと考えている方に気を付けてもらいたいことを書いています。
それではさっそく見て行きましょう!
<目 次>
観光庁「民泊の3%が違法」
2019年10月23日、観光庁は、住宅宿泊仲介業者及び旅行業者68社の民泊宿泊サイトに掲載されていた71,289件(平成31年3月31日時点)のうち、2,154件(3%)の物件について違法と認定し、速やかに削除するよう指導を行ったと発表しました。
全体の3%というと、割合としては少ないように見えますが、実は確認中の物件が12,862件(18%)あるので、その数はもう少し増えそうです。
ここで違法と認定され、削除対象になっている物件というのは、
-
- 営業者名、届出番号・許可番号、住所等が全てデータベース情報と一致しない。
- 適法である他人の許可番号を使っているもの(許可番号以外はデータベース情報と合致しない)
- 住宅宿泊事業法に基づく届出番号の付番のルールを明らかに逸脱し、かつ、その他の情報からもデータベース情報と一致していると判断できないもの。
といった物件だそうです。
要は「無許可営業の可能性が高い」ということです。
平成29年6月の住宅宿泊事業法の施行によって、いわゆる違法民泊は急速にその数を減らしてきていますが、まだまだ根絶とはいかず、大阪など一部の地域では、取り締まりを行う行政機関と悪徳業者とのいたちごっこが続いています。
ところで、悪徳業者は確信犯ですから問題外ですが、一般の方でも違法民泊に手を出してしまうという場合があります。
それは、どういった場合でしょうか?
違法民泊に手を出してしまう「理由」
そもそも旅館業法では、「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」を旅館業と定義し、ホテルなどの旅館業を規制してきました。
理由は、ホテル・旅館といった不特定多数の人が利用する宿泊施設の公衆衛生を担保するためです。
ところが、近年の外国人観光客の増加に伴う、ホテル等の宿泊施設の不足から、所有する空き部屋を宿泊施設として貸し出す「民泊」というサービスが生まれました。
当初は、合法的に民泊を運営しようとすると、旅館業法の許可をとるか、もしくは「特区民泊」の認定を受けるしかなかったのですが、住宅宿泊事業法の施行により、法律に則って自治体に届け出れば、旅館業法の規制よりも緩やかな規制で、全国で合法的に民泊営業ができるようになりました。
しかし、このように法律が整った現在でも、違法を承知で違法民泊を運営する人が少なからずいます。
そうした人たちは、
-
- 届出がめんどくさい
- 広さや防火設備が法律の基準を満たしていないけど、民泊事業でお金儲けしたい
- 物件オーナーが外国人で、日本の法律を理解していない
といった理由で違法民泊に手を染めることが多いそうです。
「届出がめんどくさい」や「法律を理解していない」という理由は問題外ですが、ここでわたしが気になったのが「広さや防火設備が法律の基準を満たしていないけど、民泊事業でお金儲けしたい」という理由です。
というのも、「この物件で民泊をやりたい」とお越しになられるご相談者様のなかには、防火設備や部屋の広さなど旅館業法や住宅宿泊事業法の要件を満たしていない物件をもってご相談に来られる方が、少なからずいらっしゃるからです。
「元々、所有していた」ものであれば、まだ良いのですが、中には、民泊をする為に「借りてきた」「購入してきた」という方もいらっしゃるので、こういった場合は目も当てられません。
それでもお金をかければどうにかなる物件であれば、検討の余地もあるのですが、お金ではどうにもならない物件もありますので、泣く泣く諦めるという方もいらっしゃいます。
「広さや防火設備が法律の基準を満たしていないけど、民泊事業でお金儲けしたい」という理由を読んだとき、「もしかすると、そういった方が今更後にも引けないので、違法を承知で営業しているというものもあるのかな」と感じてしまいました。
違法民泊は必ずバレる
おそらく違法で民泊を始められる方は「内緒でやれば、役所にはバレないだろう」と思って始められるのだと思うのですが、必ずバレます。
では、なぜバレてしまうのでしょうか?
理由は、マナーの悪い宿泊客を見るに見かねた、ご近所の通報です。
通報の内容は、
-
- 部屋の窓からごみを捨てる人がいて、隣の建物との間がごみだらけになっている
- 近隣住民の自転車のかごの中に食べ残した食べ物を捨てる人がいる
- エレベーターホールに段ボールが大量に廃棄されている
- 民泊が禁じられているはずの物件で見知らぬ人が夜中に騒いでいる
- マンション内の呼び鈴を片っ端から鳴らす外国人がいる
といったものが多いそうです。
民泊は、一般の方の生活圏内で運営されていることが多いですから、そこに見知らぬ人が出入りすれば、目立ってしまいます。
これが外国人であれば、尚更です。
そこで、「旅の恥はかき捨て」とばかりに利用者が迷惑行為におよぶと、すぐにご近所トラブルに発展してしまいます。
そして、役所に通報されると役所の調査が入り、最後は違法行為がバレてしまいます。
ちなみに無許可営業を行った場合、6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されてしまいます(旅館業法第十条第1項)。
まとめ
さて、今回わたしが声を大にして言いたいのは、「民泊を始めたいなら、物件を決める前に専門家に必ず相談してもらいたい」ということです。
確信犯で違法民泊を始める悪徳業者は、本当に問題外ですが、中には「物件を購入してしまって、後に引けなくなった」という方もいらっしゃると思います。
しかし、そうやってやむなく始めた違法民泊がバレてしまった時の代償は、物件の購入費用以上に大きいです。
こうした残念な事態を防ぐ方法のひとつが、事前に専門家に相談することです。
例えば、民泊手続きに詳しい行政書士事務所であれば、物件の事前調査も行っています。
事前に下調べをしておけば、使えない物件に手を出すリスクを防げます。
また、これらの専門家は、業界や同業者とのつながりから、一般の方が知らない情報を教えてもらえたり、知りたい情報を代わりに収集してもらえたりできるというメリットもあります。
これから民泊を始めようと考えられている方は、まず行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
本日は、「違法民泊、なぜやってしまう!?」をテーマに、違法民泊の現状や違法民泊を行う理由をご紹介しました。